新しい建設プロジェクト管理の予感

~ブロックチェーン技術が可能にする新しい建設プロジェクト管理手法

Image credit: WCT

プロジェクトに引き起ったネガティブな問題に対して、どのように当事者間で決着させるか?

現在では、リスク対応の成果(アウトプット)については、発注者(プロジェクトマネージャー)、設計者、請負者などが直接打ち合わせを行い、長い時間を掛けて駆け引きや交渉を重ね、その着地点(妥協点)を見出すという旧態依然としたプロセスが行われています。

『もっと民主的に効率的にこの決定を行うことはできないのか?』というのが率直なところです。

日本のプロジェクトでは、発注者の意向を請負者が受け入れるような問題でも、海外のプロジェクトでは、請負者は、ある意味「ずる賢く」、厳密に契約条件に即して着地点を求めるため、発注者へ不利な着地点(妥協)に至ることも多々あります。

つまり、海外プロジェクトは発注者にとって「オペレーションリスク」が高い環境にあるというのが特徴です。

最近では、ブロックチェーン技術を活用した新しい金融システム「分散型金融(DeFi)」が従来の「中央集権型金融」への変革を加速させているように、ブロックチェーンを活用したスマートコントラクトの技術が、建設分野についても同様な変革を加速させ、その中央集権的なプロジェクト管理手法が急速に変わっていく可能性があります。

Image credit: ENSTOA

※「ブロックチェーン」とは、取引履歴を暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術。
※「スマートコントラクト」とは、ブロックチェーンシステム上の概念であり、あらかじめ設定されたルールに従って、ブロックチェーン上のトランザクション(取引)情報をトリガーにして実行されるプログラム。

建設システムも、金融システムと同様に新しいテクノロジーを掛け合わせることで、これまでのシステムよりも『効率的で、柔軟性があり、安全で、さらに自動化された取引が可能』な時期となっています。現在のコロナパンデミックのような事態が将来的に再び起こり得るとして、グローバルに活用できるプロジェクト推進の方法論を構築していくことがプロジェクトにおける「オペレーションリスク」への対応となります。

今後、プロジェクト推進の各側面にて、

「DeFi」,「AI」,「BIM」,「Metaverse」といった新しいテクノロジーを活用したマネジメント手法を取り入れ、効率的で柔軟性があり、安全で自動化された取引ができるようなプロジェクト体制を組成し、旧来のプロジェクト体制からアップグレードした新しい共通感覚を共有したチームにて、より高いレベルの投資効果を求めていくことが私たちJPIDの課題でもあります。

1.ガバナンス
2.スコープ
3.スケジュール
4.コスト
5.品質
6.人的リソース
7.コミュニケーション
8.調達
9.ステークホルダー

※ガバナンス(governance)とは「統治・支配・管理」を示し、経営者の独善的な行動や不正、情報漏えいといった経営リスクを未然に防止するためには、ガバナンスの強化が必須です。

※メタバース(Metaverse)とは、デジタルで構築された仮想空間の中で、人々と交流したり、サービスやコンテンツを利用したりする世界を指します。


おすすめ記事