映画のロケ地に選ばれる価値

消費社会のマーケットでは、新品が価値のピークで時間の経過とともに価値が下がっていきます。車も住宅も新規に購入した時から価値が下がっていくのは、それらが消費対象の商品だからです。

一方で投資社会のマーケットでは、時間の経過が資産価値の向上に貢献するものでなければ効果的なリターンは得られません。これからの時代、投資対象として必要なものは、時間の経過とともに付加価値を生み出す「増価蓄積」資産です。

THE BLUE MANSION

歴史あるラグジュアリーな邸宅のブランディング

今回紹介する建築コンテンツは、東南アジア(マレーシア)にありながら、ハリウッド映画『Crazy Rich Asians』などのロケ地にも利用されたペナン島にある『THE BLUE MANSION』です。

リノベーション前
リノベーション計画
ブランディング

もともとはマラッカ海峡を挟んだマレーシア、インドネシアで活躍した華僑の邸宅をホテル、レストラン、バーへとリノベーションし、その際に『青・インディゴ』をテーマとした内外装に仕上げています。

バーチャルリアルな空間体験

そのラグジュアリーな空間は、数々の映画のシーンとして利用され、ここを訪問する利用者は、映画の中のバーチャルなシーンを思い浮かべながら、宿泊、食事、お酒を楽しむリアルな場所を楽しむことができ、バーチャルリアルな空間体験のできる観光地になっています。

メインダイニング
バー: モニターには映画のシーンが..

増価蓄積する価値を仕込む

最近では、SNSの普及により利用者の投稿が追体験を目的とするさらなる利用者を呼び込み、集客の好循環も生み出しています。映画やコマーシャルのロケ地がファンの聖地として人気の観光スポットになっています。そのような集客効果を想定した空間づくりとコマーシャル的な仕掛けを事業計画にあらかじめ仕込んでおくことは商業施設づくりに効果的です。

このように、建設投資においてはリアルな場所の価値を高めるデジタルやメディアなどバーチャルなコンテンツをブランド戦略に組み込み、増価蓄積する資産を創出し維持していくことが持続可能なビジネスを可能にします。ただ単に再開発やリノベーションによる新しい施設を用意し、新しいテナントを誘致するという単純な手法は、流行と経年による減価償却資産を生み出し、空間的な価値は時間とともに減少していきます。

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