空間さんぽ・100年の歴史が生み出す新しい空間体験

今回紹介するのは、ジャカルタ中心部の閑静な住宅地Mentengにある歴史的建造物『The Hermitage, a Tribute Portfolio hotel』です。
1920年代に建築されたのオランダ植民地時代の建物は、今までに電気通信事業の事務所, インドネシア文化省の本部, ブンカルノ大学の敷地と利用され、現在のホテルは2014年にオープンしました。

外観:手前が既存、奥の高層棟は増築

ホテルにバリューアップするために3階建ての既存建物はインテリアをリノベーションし、新たに増築した高層部は、客室やファンクションルーム、プール、ジム、バーなど現代的なホテル機能を追加しています。

カフェレストラン:コロニアル建築仕様のインテリア

特筆すべきはオランダ植民地時代の『優雅なライフスタイル体験』を現代生活にインプットしていること。
新しい高層棟は、歴史ある既存部分から独立させて増築し、中庭も兼ねたコートヤードカフェを新旧建物の間に配置し、新旧融合した空間をシークエンシャルに体験できます。

コートヤード・カフェ:新旧建物の間に配置され、天窓上部は建物の間の吹き抜けとなっている

このケースに限らず、歴史的建築物を活用してバリューアップする際には、古い建築空間に新しい機能を追加するのではなく、このように光庭や中庭という緩衝帯を挟んで新機能を併設する事例が増えています。
インドネシアのみならず、東南アジア、日本においても歴史的建造物を活用する際には、新旧空間に相応しい機能配置の在り方が建設計画のポイントとなります。

ルーフトップ・プール:バーが上階にある複層タイプの屋上空間

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