インドネシア・西ジャワ地震の建物被害から見える社会課題

2022年11月21日に発生したインドネシア西ジャワ地震では、M5.6、震度5前後の揺れで建物が崩壊し多数の方々が犠牲になりました。

日本ではこの程度の地震では起きない建物被害から見える現地の社会課題が浮き彫りになりました。

震源地周辺で震度5強、ジャカルタ周辺は震度3程度の揺れを示す

レンガ主体の壁構造から柱梁のフレーム構造へ

インドネシアの一般的な建物はレンガ壁に屋根を乗せた建築工法です。それは耐震性の劣る「剛構造」に分類でき、日本の柱梁フレーム、屋根架構を骨組みにした地震力を吸収する柔構造とは異なります。今回の地震では、震度5でレンガ壁が倒壊し、屋根・天井も連鎖的に崩落し、人間が犠牲となった事態に対して、「建築物が人命を守る」という使命を果たせなかったことが残念でなりません。

レンガ壁の倒壊
屋根・天井の崩落
海洋プレート沈降ゾーンと断層の位置

インドネシアでも耐震設計はマスト

上の図は、「海洋プレート沈降ゾーンと断層の位置」と「地震震度の地域区分」を示しています。

インドネシアは日本と同じように海洋プレート沿いの列島ということもあり、国の構造設計指針(SNI:Standard National Indonesia)として設計耐震設計に対する要求が定められています。

柱梁フレーム工法による現代建築の設計

現代建築の多いジャカルタでは今回の地震は震度3程度でしたが、建築構造の被害もなく安心できる結果となりました。

これからの建築計画では、耐震性に有効で、現代の建築設計に取り入れられている「柱梁フレーム」方式を、より人々の生活に身近な一般住宅、店舗付き住宅(Ruko)、寮(Kost)に採用すべきであると考えています。

アーキテクト、エンジニア、建築行政の担当者は、この考え方を建築設計や制度に取り入れることが基本的な課題なのではないでしょうか?

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